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紅旗 CA770 中国 1965年
中国初の自動車メーカーである第一汽車(China FAW Group Co.)は、ロシア(当時はソビエト連邦)の自動車メーカーであったジルの支援で1953年に設立されました。当初はソビエト連邦のトラック ZIS-150をベースとした中国人民解放軍の中型トラック CA-10や軍用トラック 解放CA30などを製造していました。1958年にアメリカのクライスラー インペリアルをコピーして自社ブランドの乗用車 紅旗 CA72を開発し、この車は中国共産党の指導者専用車でした。(実車画像→ 紅旗 CA72 1958) (実車画像→ クライスラー インペリアル 1955)
1963年にはV型8気筒5.7Lエンジンを搭載したクライスラー インペリアルのプラットフォームをベースにした紅旗 CA770が開発され、この車は共産党指導者の公式車両に指定されました。1965年にリムジン仕様、1969年に防弾仕様のCA772が設定され約1600台が1980年まで生産されました。
1998年にアメリカ フォードの協力でフォード リンカーン タウンカー 3代目をベースとする紅旗 CA7460が登場しました。その後2005年にトヨタと提携したことで、トヨタ クラウン マジェスタをベースとした紅旗 HQ3が2006年に登場し、2012年にクラウンをベースにした紅旗 H7が登場しました。2009年には中国建国60周年記念式典に向け胡錦涛総書記専用車として中国初のV型12気筒エンジンを搭載した紅旗 HQE (CA7600J)が登場しました。2014年にCA770のデザインを復活させたクラシックな外観のL5が登場しました。L5のV型8気筒4Lエンジン搭載仕様をCA7400、V型12気筒6Lエンジン搭載仕様をCA7600と呼ぶようです。また派生モデルとして全長約6.4mのリムジン L9、全長約6mのリムジン L7があるようです。(資料によって記載内容が異なるので、正確なことがわかりません) (実車画像→ 紅旗 HQE 2009) (実車画像→ 紅旗 L9)
ミニカーは2006年頃にWEBオークションで入手したCENTURY DRAGON製です。紅旗 CA770のリムジン仕様をモデル化しています。CENTURY DRAGONは2003年に設立された香港(中国)のメーカーで、主に中国のクラシックカー(紅旗や軍用車など)を1/43、1/24、1/18でダイキャスト製/レジン製でモデル化しています。これはダイキャスト製で、中国の最高級車ということもあって、かなりレベルの高い出来ばえとなっていました。プロポーションが正確で、フロントグリル、灯火類、室内などの細部も丁寧に仕上げられています。ボンネット先端には赤い旗をイメージしたマスコット、フロントバンパー両端には国旗掲揚用のポールが付いています。室内もリムジン後席の豪華な内装、インパネなどが良く再現されています。ドアなどの開閉ギミックはありませんが、前輪の操舵ギミックが付いています。ミニカーが大きいこともありますが、並みのミニカーの2倍ほどもある大きなプラスチック ディスプレイケース付きで実車のイラストが描かれた立派な梱包箱に収められていました。CENTURY DRAGONはバリエーションでパレード用の閲覧車 CA770TJ、最近のCA7600やH7もモデル化しています。これ以外の紅旗のミニカーはブレキナのCA770とCA7202 センチュリースター(アウディ 100ベースのパレードカー) 1/87、トミカの中国特注品のCA7600 1/84などがあります。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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DAF OSI シティカー オランダ 1966年
DAF OSI シティカーは1966年のトリノショーで公開された、シティカーのプロトタイプでした。オランダのDAFがイタリアの自動車雑誌「QUATTRORUTE」との共同企画で開発し、イタリアのカロッツェリア OSI(Officine Stampaggi Industri)のセルジオ サルトレッリがデザインしていました。DAF 32をベースにしていたので、操作が簡単なベルトとプーリーによる無段変速機「バリオマチック」が使われていました。第2次大戦後にはBMW イセッタやゴッゴモビルなどの超小型車が登場し、1950年代後半にはフィアット 500やBMC ミニといった新世代の小型車が登場し、この車もその流れを受けて開発されたようです。
この車の最大の特徴はドアで、運転席の左側はスライドドア、右側はセンターピラーのない観音開きドア、さらに荷物用のハッチバックもついていました。このようなドア構成になっているのは、狭い場所に駐車した場合に乗り降りし易いからでしょう。(タクシーとして使うことも想定していたようです) 現在の軽自動車でもセンターピラーのないスライドドア仕様が増えていますから、この車はそれを先取りしていたと言えるでしょう。都市の駐車スペースの問題を解決できる小型のシティカーはたびたび提案されています。(1973年のミニッシマなど) ただ実際に個人が所有する車は様々な用途で使われるので、用途限定のシティカーが製品化されて成功したことはなく、このDAF シティカーも製品化されませんでした。(良く似た車が商用バンのDAF KALMARとして製品化されていましたが)
ミニカーはコーギー製の当時物で、1971年に発売されました。コーギーはこのミニカーの縮尺を公表していませんが、実車の全長が約3.1mなので1/43だと思います。ただし実車の画像と見比べてみると、実車よりも全長が短めにデフォルメされているようです。コーギーは親しみ易いスタイルにデフォルメすることがありますが、それはコーギーのミニカーの個性でもありました。(昔のミニカーはスケールモデルではなく、子供向けの玩具でしたから) 外形はデフォルメしていますが、この車の最大の特徴であるドア構成についてはお得意のギミックで巧みに再現していました。
このサイズのミニカーにドア/ボンネット/バックドア開閉などのフルギミックを採用している物は他にもありました。ただこのDAF シティカーのように建付けが良くスムーズに動作する物は少なく、コーギーの技術力が優れていたことを示しています。ただコーギーでも技術的にかなり難しかったようで、コストも高いものについたようです。なお屋根が黒の結晶塗装になっていますが、これはルーフ左端のスライドドアのレールを目立たなくする為に敢えて採用しているのだと思います。DAF シティカーのミニカーはこれしかありません。このミニカーは約47万台が売れ、当時のコーギーとしても標準以上の販売台数だったようです。(その為、実車よりミニカーの方が良く知られています) 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/バックドア開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ワルトブルグ (ヴァルトブルク) 312 カブリオレ 東ドイツ (現ドイツ) 1966年
ワルトブルグ(ヴァルトブルク)は旧東ドイツの小型車のブランドで、東ドイツの国営企業のアイゼナハ社(Eisenacher Motorenwerk 略してEMW社)が生産していました。アイゼナハ社は第2次大戦前はBMWのアイゼナハ工場でした。ワルトブルグ車は第2次大戦前のDKW車をベースにしていて、最初のモデル 311は1956年に登場しました。311は2サイクル水冷3気筒900cc(40HP)エンジンを縦置きに搭載した前輪駆動の4人乗り小型車で、4段変速で最高速は115km/hでした。なおワルトブルグという名前は工場所在地であるアイゼナハにあるワルトブルグ城に由来していました。
ワルトブルグ車には戦前のBMWやアウトウニオンの技術が生かされていたので、同時代の西側諸国の車に比べても見劣りしない性能の車でした。1962年にはエンジン排気量を1L(52HP)にアップしシャーシを改良した312が追加されました。クーペ、カブリオレ、ロードスター、ワゴンなどが追加され、1960年代には西ドイツやアメリカなどに輸出されました。1966年頃までに約25万台が生産されました。1966年に後継車の353が登場しました。1991?に東西ドイツが統一され、ワルトブルグの工場はオペルに買収されました。(実車画像→ ワルトブルグ 353 1986)
ミニカーは2003年に発売されたミニチャンプス製です。ワルトブルグ 311の改良型である312のカブリオレをモデル化しています。ミニチャンプスらしいそつのない良い出来ばえで、フロントグリルや室内などの細部までリアルに再現されていました。ただ畳んだ幌が大きくかさばっていて目立ち過ぎの感じがします。この車は今見ると単に古臭いスタイルですが、1960年代当時としてはかなりかっこいい車だったのでしょう。ミニチャンプスは4ドアセダンと2ドアクーペもモデル化しています。これ以外のワルトブルグ 311/312のミニカーは、ブレキナのセダンとクーペとワゴン 1/87、イスト モデルのセダンとクーペとワゴン、ホワイトボックスのワゴンなどたくさんモデル化されていて、実車の人気が高かったことを反映しています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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モンテヴェルディ (ハイスピード) 375L スイス 1969年
モンテヴェルディ社は元レーシング ドライバーでスイスの高級車ディーラーの経営者であったペーター モンテヴェルディ(Peter Monteverdi)が起こした小規模な高級車メーカーでした。最初の市販車は1967年に発表した2シータークーペの375Sで、自社製のシャーシにクライスラー製のV型8気筒7.2L(345HP)エンジンを搭載していました。当初のボディはトリノのカロッツェリア フルアのデザインでフルアの工場でボディが架装されました。1968年以降はカロッツェリア フィッソーレがボディを架装し、1969年からはフィッソーレのデザインしたボディに変わりました。(実車画像→ モンテヴェルディ 375S 1967)
375Sは全長4.56mの大柄なボディながら2シーターでした。1969年にホイールベースを延長した全長4.8mの2+2シータークーペとした、フィッソーレ デザインの375Lが追加されました。1974年には全長5.3mの4ドア5シーターセダンの375、1975年に2シーターコンバーチブル仕様のパームビーチ、1977年には375Lをベースにした4ドアリムジンの375/4などが追加されました。これらのモデルはハイスピード シリーズと呼ばれ、1977年頃までそれぞれ少数が生産されました。(実車画像→ モンテヴェルディ 375/4)
ミニカーは1970年に発売されたディンキー(英)製の当時物です。フィッソーレが架装した375Lをモデル化しています。金属製パーツのフロントグリルなどディンキー(英)らしいややレトロな造形ながら、375Lの流麗なクーペボディが見事に再現されていて、全盛期のディンキー(英)の傑作の一つといえます。(サイズが1/43よりやや大きめですが) ボンネット/ドア/トランクが開閉するギミック付きで、メタリック塗装も綺麗です。これ以外のモンテヴェルディ 375のミニカーはノレブ初期のプラスチック製当時物の375L、マトリックス(レジン製)の375S、NEO(レジン製)の375Lなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルクス RS1000 東ドイツ 1969年
メルクスはレーシングカー ドライバーのハインツ メルクス(Heinz Melkus)が1959年に設立した東ドイツの自動車会社でした。同社は主にレーシングカーを製作し、そのほとんどの部品は東ドイツのワルトブルグとトラバントから供給されました。同社のレーシングカーは東ドイツ フォーミュラー3、フォーミュラー ジュニアなどに参戦し、ドライバーのハインツ メルクスは1960年代に何度かチャンピオンとなっていました。同社は1986年に自動車製造を止めて自動車ディーラーとなりました。
1969年に登場したメルクス RS1000はメルクスが生産した唯一のロードカーでした。RS1000はワルトブルグ製の2ストローク3気筒992㏄(68HP)エンジンをミドシップ搭載したスポーツカーでした。ラダーフレームにFRP製ボディを被せる構造で、ガルウィング式ドアを採用していました。1979年まで生産され総生産台数は101台でした。メルクス社はRS1000の後継車として2009年に新型のRS2000を開発し少量生産しましたが、2012年に破産しました。(実車画像→ メルクス RS2000)
ミニカーは2003年に発売されたミニチャンプス製です。実車の写真(上記実車諸元の画像参照)と見比べれてみると、ミニチャンプスらしいそつのない正確な造形で、実車がリアルに再現されていることが分かります。ミニチャンプスはRS1000のレース仕様車と後継車だったRS2000もモデル化しています。メルクスは日本ではほとんど知られていない車ですが、RS1000のミニカーはブレキナ(1/87)とIST MODELS(1/43)が発売しています。ミニカーとしてモデル化されていたので、欧州ではメルクス(RS1000)が東ドイツの車として結構知られていたようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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