Sorry Japanese Only
フォード 999 レーシングカー アメリカ 1902年
フォード自動車を設立したヘンリー フォードは個人的な趣味として自宅で自動車を製作していました。彼が1898年に製作した自動車にほれ込んだ地元の材木商が1899年に「デトロイト自動車」社を創立し、ヘンリー フォードを主任技術者に雇いました。この会社は1901年に「ヘンリー フォード」社に変わりましたが、経営方針で意見が対立しヘンリー フォードは会社を辞めてしまいました。ヘンリーは自分が開発した車が優れていることを示すために、1902年に赤と黄のボディカラーの2台のレーシングカーを製作しました。赤は当時の速度記録を達成した急行蒸気機関車「エンパイヤステート No.999」にちなんで「999」、黄は「アロー(ARROW)」と名付けられました。このレーシングカーは国内レースで勝利し、その活躍をみた石炭商が資金を提供することになり、1903年にヘンリーは「フォード モータ」社を設立しました。
「フォード モータ」社は資金繰りが苦しく、新しい出資者を得るために今度は速度記録に挑戦して自社をアピールすることにしました。そこでレースで破損していたアローを修復して改良し新しい999に仕立て、1904年にセントクレア湖の氷上トラックで時速147.05km/h(91.37mph)の氷上速度記録を達成しました。この速度記録車は国内を宣伝してまわり、フォードの名前を知らしめました。これで新しい出資者を得て増資することができた「フォード モータ」社は1908年に発売したT型の成功で大企業に発展していきました。
ミニカーは1979年に発売されたリオ製です。1902年のフォード 999 レーシングカーをモデル化しています。(2台作られた赤のほうです) 剥き出しのラジエータ、4気筒エンジン、運転席の足元から見える床下の大きなフライホイール、後輪を駆動するギヤなどがリアルに再現され、かなり良い出来ばえです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=64
フォード T型 アメリカ 1908年
ヘンリー フォードが生み出した自動車史上最も有名な車が1908年に発表されたフォード T型です。ヘンリー フォードは1903年にフォード モーター社を設立し、T型以前にもA型から始まる名前の車を開発して販売していました。(実車画像→ フォード A型 1903) T型とはその開発番号に由来する名前でした。T型はレールで移動する台車を使った流れ作業による大量生産方式で低価格を達成し、最終的に1500万台が生産されました。初期のT型の標準的なボディは画像のようなオープン4座セダンでした。なお大量生産が始まったのは1912年頃からで、それまでは組立て作業中の車を作業者がロープで引っ張って移動させていたそうです。大量生産が始まるとそれまでは数色あったボディカラーが黒のみになりました。
初期のT型は4気筒2895cc(20HP)の実用的なエンジンを搭載し、半自動式クラッチによる2段半自動変速機を介して最高速70km/hぐらいの性能でした。特筆すべきはこの半自動変速機で、足元の3つのペダルの操作のみで2段変速/後退が行えるもので、運転が簡単になったことが自動車の大衆化に大きく寄与しました。アメリカ車で早くから自動変速機仕様が一般化されていたのは、大量に販売されたT型が実績を作ったからなのです。
フォード T型のミニカーはたくさんあります。ここでは1960-70年代に作られたビンテージミニカーのなかで、クラシックカーを主に手掛けていたメーカーの物をまとめてみました。まずはドイツのチィス(ZISS)製です。チィスは1960-1970年代にドイツ車中心で1/43のクラシックカーを作っていました。1960年代に作られたということもあって、あまりプラスチックが使われておらず、幌部分も金属で出来ています。金属製パーツが多いので、頑丈な感じが強調されていますが、T型のイメージには合っています。なおこのミニカーのようにFORDのロゴが大きく正面に付いているフロントグリルは初期のT型の特徴でした。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=120
フォード T型 ツーリング (セダン) アメリカ 1909年
1908年に登場したフォード T型は基本的なデザインを変えずに20年間生産されました。一番生産量が多かった1923年には年間で約200万台が生産され、当時アメリカで生産されていた車の約半数がT型だったそうです。この台数は2022年の日本の軽を含めた自動車販売台数(約420万台)の約半数にあたる台数ですから、とてつもない台数であったことが分かります。しかもほとんどのボディカラーが黒だったのです!
1920年代になると、フォード T型は密閉式ボディの採用や装備が充実していくことで増加した車重に対して、エンジン性能が不足してきました。競合他社(GM シボレーなど)には6気筒エンジン搭載車があり、動力性能で見劣りするようになりました。また安価な大衆車とはいえ、多彩なボディカラーや目新しいデザインを採用する他社に対して商品の魅力という点でも見劣りするようになりました。そこでファード T型もボディカラーのオプション設定などの対抗策をとりましたが、もはや時代遅れな車であることは明白でした。1927年に生産中止となり、1928年に後継車のA型にモデルチェンジしました。
フォード T型のミニカーはたくさんあります。ここでは1990年以降に発売されたミニカーで、スケールモデル的にリアルな出来ばえの物をまとめてみました。初めに紹介するのは2001年頃に発売されたイクソ製です。初期のT型を極めて忠実に再現しています。プロポーションが正確で、白タイヤと折畳まれた幌の具合も実車に忠実です。室内もハンドル下のスロットル操作用の2本のレバー、足下の3つの操作ペダル、ハンドブレーキなどT型フォードの特徴的な操作系がきちんと再現されています。また底板部分の前後サスペンションもリアルに再現されています。私の知る限りでは、2023年現在でもフォード T型の1/43ミニカーとしてこれが最高の出来ばえです。バリエーションで幌を立てた状態のミニカーもありました。またイクソは2002年に1925/1926年式のT型最終仕様のランナバウトもモデル化しています。以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=124
フォード T型 セダン アメリカ 1915年
フォード T型は1908年に発売され、基本的なモデルチェンジなしで1927年まで生産され、総生産台数は約1500万台でした。この記録を凌ぐのはフォルクスワーゲン ビートルのみで、総生産台数は約2100万台でした。ただし生産期間は1941年から2003年までとフォード T型より長期間でした。
1920年代には世界中で生産される自動車の半分はフォード T型でした。発売当初の生産台数は年間1万台ほどでしたが、1913年には年間10万台を超え、1922年には100万台を超えました。レールで移動させる台車に車体を載せて作業する流れ作業方式は1912年頃に始まりました。(エンジン単体などもベルトコンベアによる流れ作業で生産されました) これにより1台を完成させるのに必要な時間が初期の12時間から1.5時間に短縮されました。
一台当たりの作業時間が減り生産台数が飛躍的に増えることで、フォード T型の価格は低下していきました。標準的なセダンは発売当初850ドルでしたが、1925年には290ドルまで低下しました。この290ドルは現在(2023年)の価格に換算すると、約200~300万円ぐらいになるようです。ちなみにフォードの生産工場での作業者の日給は5ドルで、これは年収1000ドル以上となり、当時はかなりの高給だったようです。(ただし単純作業の連続できつい職場だったそうです)
フォード T型のミニカーはたくさんあります。ここでは1960年代のイギリスの老舗ミニカーブランドであったコーギーとディンキーの物をまとめてみました。コーギーのフォード T型は1964年に発売されました。コーギーの型番9000番台はクラシックス シリーズと呼ばれ、種類は少ないですが、マニア向けの本格的なクラシックカーをモデル化していました。これもそのひとつでT型セダン 1915年式のモデル化です。ラジエータグリル形状や運転席部分へ繋がるボンネット後部形状などがきちんとその年式どおりに再現され、床下の前後サスペンションもリアルに再現されているなどクラシックカーのミニカーとしてかなり良い出来ばえでした。さらにいかにもそれらしい服装をしたフィギュアを乗せているのは、コーギーらしい遊び心が感じられます。バリエーションとして実車とおなじ黒一色のものと幌を立てた状態のものがありました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=123
フォード TT型 バン BECKS アメリカ 1926年
フォード T型は商用車としても使われました。最初は安価な2座車の後部に荷台を取り付けた前述したランチ ワゴンのような改造車だったようです。2017年にT型をベースにしてメーカーが設計した商用車仕様のTT型が登場しました。TT型はホイールベースが60㎝ほど延長され、フレームと後輪駆動ギヤが強化されていました。当初はシャーシのみで販売され、ユーザーがバンやトラックや小型バスなどのボディをカスタムで架装していました。1924年にはフォードが架装したトラック ボディが設定されましたが、様々なボディの商用車があったようです。
フォード TT型は安価で丈夫でしたがエンジンや変速機はT型と同じでしたので、他社のトラックに比べると動力性能は劣っていました。最高速は標準で24km/hで、オプションのギヤボックスを付けても35km/hとかなり低速でした。(T型の最高速は70km/でしたが、駆動力を上げる為に後輪のデファレンシャルギヤ比が変更されていました) 1926年にはT型が約160万台生産され、TT型は約20万台生産されています。1928年にT型がA型にモデルチェンジし、TT型もAA型にモデルチェンジしました。
ミニカーは1993年に発売されたマッチボックス製です。ドイツのビール メーカー「Beck & Co」の配送用バンをモデル化しています。このフォード TT型はT型よりホイールベースが延長されていることがわかります。マッチボックスはこの類の商用車をたくさんモデル化していますが、それらの商用車のミニカーはカラフルなボディカラーと綺麗に印刷されたメーカーのロゴなどを楽しむものでもありました。このTT型もそこはきちんと押さえて作ってありますが、室内などもそこそこリアルに作ってあります。同じ型を使ったバリエーションがいくつかありました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=127
当サイト掲載記事の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2004-2024 MINIATURECAR MUSEUM All rights reserved.