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ロールス ロイス ファントム II カブリオレ イギリス 1932年
1929年にロールス ロイス ファントム IIが登場しました。ハイポイドギヤによるリアドライブを採用したリアサスペンションなどが改良された新しいシャーシに、ファントム Iと同じ6気筒エンジンを改良して搭載していました。ノンシンクロの4段変速機はエンジンと一体化され、1935年には2/3/4速にシンクロが設定されました。ホイールベースは約3.66mと約3.81mの2タイプがあり、ロールス ロイス社はシャーシのみを販売し、ボディはコーチビルダーが架装していました。
1931年頃にショートホイールベース仕様でサスペンションのスプリングを強化した、ファントム II コンチネンタルが追加されました。この車は優れた操縦性で当時最高のスポーティ サルーンでした。ファントム Iの欄で記載しましたが、アメリカ向けのファントム Iはアメリカの工場で生産されていました。この工場は1931年に閉鎖されましたので、アメリカ向けのファントム IIはイギリス本国で生産されました。1935年に後継車ファントム IIIが登場し、1936年に生産中止となりました。総生産台数は約1700台(コンチネンタル 約300台)でした。
ミニカーはリオ製で1976年に発売されました。ロングホイールベースの豪華な2シーターカブリオレをモデル化していますが、この車はアメリカのコーチビルダー ブリュースター(BREWSTER)社が架装していました。アメリカ仕様の左ハンドルで当時のパッカードなどとよく似たアメリカ車的なデザインとなっています。実車画像と見比べると、V字に折れ曲がったフロントウィンドーとそこに付いたバックミラー、RRロゴの付いた前後バンパーなど実車がリアルに再現されていて、とても良く出来ています。ドア開閉、リアの補助シーツ開閉、ボンネット脱着のギミック付きです。このようなロールス ロイスの2シーターカブリオレのミニカーは珍しいです。ファントム IIのミニカーは最近までこのリオとウエスタンモデル(ホワイトメタル製)しかありませんでしたが、最近になってMATRIX、NEOなどのレジン製で10数種類がモデル化されています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス 25/30 スラップ & メイバリー イギリス 1936年
第1次大戦後の不況で高価なシルバー ゴーストだけでは販売が苦しくなったロールス ロイスは、1922年に「ベイビイ ロールス ロイス」と呼ばれた20HP(TWENTY)を発表しました。価格はシルバー ゴーストの約半額で、同じ6気筒ですが半分の排気量の3150cc(約50HP)エンジンを搭載し3段変速機で約100km/hの性能でした。(注:名前の20HPは課税上の馬力を表示したもので、実際のエンジン出力は50HPということです) 外観的にはラジエータの前につくシャッターが横向きになっていることが特徴でした。(後ほど縦向きに変更されました)
1929年に20HPはエンジン排気量を3.7L(75HP)に拡大した20/25HPとなりました。この車は自分で運転するユーザーに人気があり大ヒットし、1936年までに約3800台が生産されました。この成功はロールス ロイスの財政状況を改善しました。1936年に20/25HPはエンジン排気量を4.3L(115HP)に拡大した25/30HPとなりました。このパワーアップは20/25HPに大型ボディを架装した場合に問題となったパワー不足を解消するものでした。1938年までに約1200台が生産され、1938年に名前がレイス(WRAITH)に変わりました。なおこの当時の高級車はコーチビルダーがボディを架装していて、名前のスラップ & メイバリーは当時の有名なコーチビルダーの名前です。
ミニカーは2018年に発売されたオックスフォード製です。この車のキャビン後部の形状はイギリスのこの時代の高級車によくみられる古典的なスタイルで、鋭いナイフで削ったような形状なので「ナイフエッジ」又は「レザーエッジ」と呼ばれます。ミニカーはキャビンがやや小さめな感じがしますが、リアルなフロントグリルの造形、レザーエッジがうまく再現されたキャビンなど、全体的には良い出来ばえとなっています。定価は5400円でしたが、この出来ばえを考えると安くはないですが妥当な金額だと思います。(オックスフォード製の1/43ミニカーは私の好みに合っていますので、もっと輸入してもらいたいです) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス ファントム III イギリス 1938年
1935年に新型のV型12気筒7.4Lエンジン(約160-180HP)を搭載し、前輪独立懸架サスペンションを採用したロールス ロイス ファントム IIIが登場しました。このV型12気筒エンジンは航空機エンジンで培った豊富な経験が生かされていて、非常に優れた静粛性を有していました。動力性能は車重約1.8tのボディを最高速160km/hで走らせ、しかもその速度で普通に話ができるほど静かだったそうです。ロールス ロイスとして初めて採用した前輪独立懸架サスペンションにより乗り心地がソフトになり、スピードに応じて減衰力が制御されるダンパーと相まってスポーツカー並みの操縦性だったそうです。
また前輪独立懸架サスペンションの採用で、ラジエーター位置が前進しエンジンを全車軸より前に配置できるようになり、その分室内の前後長を広くとることができるようになりました。この後1998年にシルバー セラフが登場するまで、V型12気筒エンジンを搭載したロールス ロイスはファントムしかありませんでした。ファントム IIIは1939年に第2次世界大戦の為に生産中止となり、総生産台数は約700台でした。1950年に後継車としてファントム IV/Vが登場しました。
ミニカーはダンバリー ミント製の1/24で、1994年に購入しました。ダンバリーミントはコレクター向けの商品を扱うアメリカの会社で、同業のフランクリン ミントと同時期に同じような1/24の精密ミニカーを販売していました。どちらも当時は通信販売でしか購入できませんでした。両社の1/24のミニカーは何れもプラスチック製パーツが少ない丈夫な作りで、ドア/ボンネットなどが可動しエンジンやサスペンションなどもリアルに再現された素晴らしい出来ばえでした。(ただし出来ばえ相当に高価でしたが) このファントム IIIはロールス ロイスらしい古典的なスタイルがうまく再現されていて、フェンダー下部につけられたモールが豪華さを感じさせます。ボンネット/4ドアが開閉するギミック付きで、ボンネット内にはエンジン関係、室内にはインパネのメーター類、足元のペダル、ドライバー用本革シート、オーナー用ファブリック シートなどが再現されています。さらにステアリングホイールと連動する前輪操舵ギミックも付いています。(なお右側前輪はタイロッドが破損しているのでうまく動作していません) 以下はフロント(マスコット拡大)/前輪操舵ギミックの画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス ファントム III クーペ デビル イギリス 1939年
前述したようにロールス ロイス ファントム IIIには前輪独立懸架が採用されました。ロールス ロイスに限ったことではありませんが、前輪独立懸架の採用は車のスタイルを大きく変えました。エンジンが前輪車軸上に搭載できるようになったことでエンジン搭載位置が前進し、ボンネットが短くなりラジエータが前車軸より前に移動しました。その結果全長に対するキャビン部分の比率が大きくなり、近代的なプロポーションとなりました。ファントム IIIのサイドビューをビンテージ期のファントム Iのサイドビューを較べてラジエータと前輪の位置関係をみるとそのことが良く分かります。
1939年に第2次世界大戦が始まるとロールス ロイスは乗用車の生産を止め、その技術と生産力をドイツ空軍とイギリス空軍の戦闘「Battle of Britain」に勝利した戦闘機スピットファイアーの航空機エンジン(マリーン V型12気筒)に注ぎ込んだ為、ファントム IIIは700台ほどしか作られていません。ファントム IIIはロールス ロイス社が戦前の自動車技術の集大成を丹念に作り込んだ素晴らしい車でした。後継車のファントム IV/Vは1950年に登場しました。
ミニカーは1978年に発売されたソリド製です。前述したダンバリー ミント製のロールス ロイス ファントム III クーペ デビルと同じクーペ デビルをモデル化しています。ただしこちらはリアのトランク部分の形状がイギリス車特有の鋭いナイフで削ったような形状の「レザーエッジ」デザインになっています。ソリドのクラシックカーは比較的安価でしたが、老舗ブランド故にプロポーションなど基本的な部分はきちんと押さえて作ってあり、いずれも良い出来ばえでした。(ただ同時期のリオの高価なクラシックカーほど凝った作りではありませんが) このロールス ロイス ファントム IIIは渋いツートンのカラーリングで、上品な高級車の雰囲気に仕上がっています。フロントグリル周りの灯火類とその上のマスコットや室内なども値段相応にうまく仕上げてあります。 以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス シルバー レイス イギリス 1947?年
第2次大戦中のロールス ロイスは航空機用エンジン 「マリーン」の量産にかかり切りで自動車生産は中断していました。「マリーン」エンジンは戦闘機のスピットファイアーなどに搭載され、「バトル オブ ブリテン(イギリス空軍とドイツ空軍との航空機空中戦)」の勝利に寄与しました。
戦時中に開発が進められていたロールス ロイス シルバー レイスが1947年に登場しました。シルバー レイスは戦前の小型車レイスの改良型ですが、シルバー レイスの6気筒4.3Lエンジンは耐久性を向上させていて、シャーシもエンジン搭載位置が前進するなど大幅な近代化が図られていました。シルバー レイスは排気量を4.6L、4.9Lに拡大して、ファントム Vが登場する1959年までに約1700台が生産されました。
なお戦前のロールス ロイスの最上級車ファントム IIIは生産中止となりました。ファントム IIIが生産中止となったのは、戦前の世界大恐慌と戦後の経済状況の悪化でファントム IIIのような運転手付高級車を購入する富裕層が減ったことでした。
ミニカーは1970年代後半にスーパーカーシリーズを出したサクラが、世界の名車シリーズとして1979年に発売しました。箱にシルバー レイスと記載されていますが、年式などは明確化されていません。コーチビルダー マリナー パークウォード製の公用車的なリムジンをモデル化しているようです。スーパーカーシリーズでは欧州製ミニカーをコピーしていたようですが、このシルバー レイスはサクラがオリジナルで起こした型と思われます。フロントグリル周りの造形はかなり適当な出来ばえですが、サイドビューについてはそこそこうまくモデル化しているので、この時代のシルバー レイスの雰囲気がそれなりに感じられる出来ばえとなっていました。ドアが開閉するギミック付きです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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