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フィアット タイプ 4 (35HP) イタリア 1911年
前述したように大型の高級車を作ってきたフィアットは1908年に小型車タイプ 1(12/15HP)を発売しました。1910年にはタイプ 2が登場し、フィアットは自社のラインアップを一新し、タイプ 1からタイプ 6まで6車種を設定しました。以下はその概要です。
タイプ 4は上から3番目の高級大型車ですが、タイプ 5/6は最上級車ですから一般向けでは一番上級の車だったはずです。4気筒5.7L(45HP)エンジンを搭載し、4段変速で最高速95km/hの性能でした。ボディ形式はランドレー、リムジン、オープンのトルペードなどが架装されました。トルペード仕様がイタリア国王が旅行の際に使用する車として使われたそうです。この車はアメリカのフィアット工場でも生産され、アメリカではタイプ 56(35HP)の名前で販売されました。1918年まで生産され、総生産台数は約700台でした。
ミニカーは1960-1970年代に発売されたクラシックカーの専門ブランドのドゥグー製です。タイプ 4のオープン仕様のトルペード(3列シート)をモデル化しています。ドゥグーは大人のマニア向けのミニカーで、イタリアのビスカレッティ自動車博物館に保存されている実車を忠実にモデル化していました。このタイプ 4も全体的なバランスが良く、フロントグリルや灯火類の細部も実車に忠実に出来ています。メッキパーツがピカピカではなく少し鈍いメッキになっているのが、いかにも古い車らしいリアルさがあります。(少し埃で汚れていることもありますが) また幌の前端をフェンダーに接続している革バンドは本物の皮革なので経年劣化で半分腐ってしまい、触ると完全に崩壊する寸前の状態になっています。なおドゥグーのミニカーにはホイールが溶ける問題があるのですが、このタイプ 4に関してはホイールの材質が異なるようでその問題は発生していません。これ以外のタイプ 4のミニカーはガマの1/45がありました。 以下はフロント/リアの拡大画像と運転席周りの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フィアット S76 イタリア 1911年
前述したようにフィアット F2はGPレースの頂点を極めましたが、その後のGPレースでは大排気量エンジンを搭載した馬力重視型のレースカーは時代遅れになっていきました。そこでフィアットは大排気量エンジンのGPカーを使って自動車の速度記録樹立に挑戦することになりました。当時の速度記録は1911年に4気筒21.5L(200HP)エンジンを搭載したベンツ ブリッツェンがデイトナ ビーチで達成した時速228.1km/hでした。そこでフィアットはベンツ ブリッツェンを上回る排気量28354cc(290HP)という史上最大の自動車用4気筒エンジンを搭載したS76で世界記録樹立を目指しました。
S76は何度か速度記録に挑戦しましたがうまくいきませんでした。1913年のベルギーのオスランドでの速度記録挑戦では、往路で132.37mph(213.02km/h)が計測されましたが復路の計測ができず記録は達成できませんでした。(非公式ではアメリカで最高速290km/hに達したともいわれていますがこれは?です) S76は速度記録車なのでそれなりに空力的なデザインがされていますが、エンジンが巨大なのでボンネット部分が異様に高い独特の形をしています。見た目だけでも迫力がありますが、エンジンを始動させると強烈な爆発音が鳴り響きボンネット横の排気管からは炎が噴き出したそうです。
ミニカーは1960-1970年代に発売されたクラシックカーの専門ブランドのドゥグー製です。ドゥグーは大人のマニア向けのミニカーで、イタリアのビスカレッティ自動車博物館に保存されている実車を忠実にモデル化していました。このフィアット S76も独特の迫力のあるボディが良く再現され、実際に可動する後輪駆動用チェーンなど凝った作りです。ドゥグー初期のミニカーのホイールは経年変化で溶けてしまうという問題があり、このS76のホイールも似たようなデザインの別のミニカーのホイールに交換してあります。ホイールの色合いがボディと少し異なり違和感があるのはそのせいです。(オリジナルのホイールはボディと同色に塗装されていました) これ以外のS76のミニカーは2017年に発売されたAUTOCULT(レジン製)があります。 以下はフロント/リアの拡大画像と後輪駆動用チェーン部分の拡大画像です。チェーンとスプロケットは軟質プラスチック製で実際に回転させることができます。 (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フィアット タイプ 0 (12/15HP) イタリア 1912年
前述したようにフィアットは1910年にタイプ 1からタイプ 6のラインナップを設定しましたが、自動車のさらなる普及を狙って1912年に小型車 タイプ 0を登場させました。タイプ 0は従来はカロッツェリアが架装していたボディをオープン4シーターに限定して自動車メーカー標準仕様とすることで大量生産しました。(この大量生産はアメリカのフォード T型と同じやり方です) 大量生産と小型化でタイプ 0は当時の同じクラスの車の約半値という低価格を達成しました。4気筒1846cc(19HP)エンジンを搭載し4段変速で最高速度62km/hの性能は小型車として十分なものでした。
フィアットとしてはボディの標準化もこのような小排気量エンジン搭載もタイプ 0が初めてでした。またボディが標準化されたので、灯火などの電装品も標準装備されていました。標準ボディ以外には2シーターのスパイダーなどが架装されました。低価格の小型車としてタイプ 0は大ヒットし、自動車の大衆化の先駆けとなりました。タイプ 0はイタリア国内だけでなくヨーロッパ諸国に輸出されました。イタリアが第1次大戦に参戦したので、タイプ 0の生産は1915年に中止となりました。約3年間で2200台以上が生産されたようです。
ミニカーは1970年代に発売されたイタリアのリオ製です。リオのクラシックカーはマニア向けで灯火類、操作レバー、フェンダーなどの細かいパーツから、シャーシやサスペンションなどのメカ部分までリアルに再現されていました。このタイプ 0はリオ初期のモデルですが、フロントグリルや灯火類などの細部がリアルで当時のミニカーとしては格段にレベルの高い仕上げでした。(2023年現在でも通用するレベルです) なお幌の前端とフェンダーを接続している革バンドは本物の皮革でできています。(ただし皮革が使われていたのは初期だけで、後にプラスチック製に変わりましたが) フィアット タイプ 0のミニカーはこのリオ製しかないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フィアット 18BL トラック イタリア 1914年
1857年にイギリスで大砲を牽引する為の蒸気車が開発され、1870年の独仏戦争で初めて使用されました。19世紀末には馬に代わる輸送手段として、欧米各国でガソリン自動車による軍用車の開発が進められました。イタリアでも軍隊の要請で、フィアットが物資の運搬だけではなく多目的に使える軍用車 フィアット 15を1909年に開発しました。15は積載量1.5tのトラックで、4気筒3L(16HP)エンジンを搭載していました。1913年には4気筒4.4L(40HP)エンジン搭載の15Bに発展しました。(実車画像→ フィアット 15)
1911年には積載量を3.5tに増やした18が開発されました。1914年に改良型の18BLが登場し、18BLの軍隊仕様(サスペンションなどを強化している)は同年に始まった第1次大戦で軍用車(兵員や物資の輸送車、野戦病院としての救急車、軽量戦車、大砲の牽引車など)として使われました。15Bと18BLの軍用車は当時のイタリア軍の作戦に不可欠な最新装備でした。 軍用に開発されたトラックですが、それらはすぐに民間の流通サービスに普及していきました。またバスボディが架装され、路線バスなどの公共交通サービスにも使われました。この流れはイタリアだけではなくどの国も同じでした。18BLはイギリスやフランスなどでも使用され、約20000台が生産されました。
ミニカーは1980年代に発売されたリオ製です。これより先に発売されていた型番20の18BL バスを流用してトラックに仕立てたものです。フロントグリルに接続された幌を補強する革バンド(初期物は本物の革製)、リアルに再現されチェーン駆動のリアドライブやサスペンションなど、それらはリオのクラシックカーに共通する凝った仕上げで、この18BL トラックもかなり良い出来ばえでした。バリエーションとして軍用トラック、幌や灯火の無いトラックなどが十数種類ありました。なおフィアット 18BLのミニカーはこのリオのものしかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像と後輪チェーン駆動部の画像です。なお以下のミニカーは初期物ですので、革バンドは全て本革です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フィアット 18BL バス フィレンツェ-ポッジボンシ-ヴォルテラ イタリア 1915年
ガソリンエンジンを搭載した最初のバスは1895年のベンツとされていて、乗合い馬車にボディにエンジンを追加したものでした。同時期に当時のライバルのダイムラー社もバスを開発していました。ダイムラーのバス用シャーシはイギリスに輸出され、ミルネス-ダイムラー(MILNES-DAIMLER)社でバスボディが架装されました。1904年に有名な2階建てロンドンバスの最初のモデルが登場しました。(実車画像→ 2階建てロンドンバス 1904)
イタリアでも前述したフィアット 15や18BLなどのシャーシにバスボディが架装されました。標準ボディとして12-14人乗りと20-36人乗りの2タイプが準備されていたとのことですが、実際にはバス会社の要望に応じて様々なボディが架装されたようです。バス会社としてはできるだけ乗客や荷物を載せたいという要望があり、屋根にも座席を設けたフィアット 2階建てバスがイタリアにもあったようです。(実車画像→ フィアット 2階建てバス 1906) (ただ座席が無くても屋根に人を載せていたようですが) さらに路線バスだけではなく、夏のバカンスでリゾートに行く現在の観光バスのような路線も運行されるようになりました。
ミニカーは1967年頃に発売されたリオ製です。イタリア中部のフィレンツェと郊外のヴォルテラとの間をポッジボンシ経由で運行していたフィアット 18BL 路線バスを再現しています。(屋根に行先が表示されてます) 50年以上前に作られたミニカーですが、現在のミニカーと比べてもほとんど遜色がないぐらいの良い出来ばえです。画像では分かりにくいですが、室内もそこそこ良く再現されていて、中央に通路があり4座の座席が4列と荷物置き場があることが分かります。また室内のカーテンや屋根に上る梯子もついてます。リオはシャーシやサスペンションなどのメカ部も再現しているのが特徴で、この18BLもチェーン駆動の後輪がリアルに再現されています。他の路線バスや遊び心のあるJUST MARRIED(結婚しました)仕様などのバリエーションが数種類ありました。なお18BLのミニカーはこのリオ製しかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像と後輪駆動部の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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