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ルノー 4CV フランス 1954年
第2次大戦中に連合軍の空襲で壊滅的に破壊されたルノー社は、戦後フランスの国策で国有化されました。ルノーの復興は戦前型のジュバカトルの生産再開から始まり、1946年の新型小型車4CVの発表と続きました。ルノーは新型車として中型車を企画していたのですが、戦後復興のために小型車4CVの開発を優先しました。4CVは水冷4気筒747ccエンジン(21HP)をリアに搭載し、小型軽量(585kg)ながら4人乗りで、3段変速で最高速105km/h の性能でした。なおCVとはエンジン排気量などから決められるフランス独特の課税上の馬力の単位です。つまり4CVとは課税馬力が4馬力ということを意味しています。
発売当初の4CVは小さすぎると不評でしたが、実車が出回るにつれて評価されるようになり、最終的には数年先までのバックオーダーを抱えるほどの大ヒットとなりました。また4輪独立コイル サスペンションによる優れた操縦性を生かして、1950年代のラリーでも大活躍しました。さらに世界各国に輸出(ノックダウン生産)され、日本では日野自動車が国産化して主としてタクシーに使われました。4CVは1961年にまでに110万台以上が生産され、ルノーを戦前のようなフランス第1の自動車メーカーに立て直しました。(ただし大型車はまだラインナップしていませんでしたが) 後継車は1961年登場のルノー 4でした。
ミニカーは1980年代に発売された初期のエリゴール製です。フロントノーズの横バーが3本になっているので1953年式以降をモデル化しています。初期のエリゴールは同時期のノレブのプラスチック製ミニカーの型を流用したものが多いのですが、これもノレブの型番17(以下参照)をベースにしていました。ノレブのオリジナルはプラスチック製で窓ガラスも室内もついていない「がらんどう」でしたが、エリゴールの4CVはダイカスト製で室内なども再現されていて、当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。 エリゴールはラリー仕様など20数種類のバリエーションをモデル化していました。これ以外の4CVのミニカーは当時物ではCIJ、テクノがありました。当時物以外ではソリド(べレム)、デルプラドの世界の名車シリーズ、イクソ、ブッシュの1/87、最近のノレブなどたくさんあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー ドーフィン フランス 1956年
ルノー 4CVの上級車として1956年にドーフィンが登場しました。エンジンをリアに搭載する基本的な構造は4CVを踏襲し、サイズを大型化して装備を充実させていました。ボディは4ドアセダンのみで、デザインは上級車のフレガートをイメージさせるシンプルでオーソドックスな3ボックススタイルで、リアエンジン車なのでフロントにトランクがありました。4CVより大きな4気筒845cc(32HP)エンジンを搭載し、最高速も115km/hに向上しました。
1961年に4段変速を採用した豪華仕様のオンディーヌ(ONDINE)が登場し、1962年まで販売されました。1964年にゴルディーニ社がエンジンを37HPにチューンし、4段変速と4輪ディスクブレーキを採用した高性能版のゴルディーニが登場しました。さらに高性能なレース用のホモロゲーションモデルのゴルディーニ 1093も限定生産されました。ドーフィンは大人しい外観でしたが、1958年のモンテ カルロ ラリーで優勝するなど高性能なツーリングカーでもありました。ドーフィンは国内で大ヒットし、世界各地に輸出(ライセンス生産)されました。アメリカではフォルクスワーゲン ビートルに次ぐ輸入車となりました。1967年まで生産され、総生産台数は200万台を超えました。 後継車は1962年に登場したルノー 8でした。
ミニカーは2002年に発売されたデルプラド製の世界の名車シリーズです。中国製でメーカーは不明ですが、イクソが似たようなものを作っているのでイクソ系のメーカーだと思います。ドアミラーが付いていてリアエンジン車の特徴であるリアの放熱グリルが良くわかる(ややオーバーですが)造形となっているなど、当時の雑誌付きミニカーとしては上々の出来ばえでした。ドーフィンの当時物ミニカーはCIJ、ノレブのプラスチック製、ディンキーなどがありました。当時物以外ではソリド、イクソ、ノスタルジーのオンディーヌ、最近のノレブの1/18と1/43、スパーク(レジン製)のレース仕様などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アルピーヌ ルノー A106 ミッレ ミリア フランス 1956年
フランスのレーシングドライバーでルノーのディーラーを経営していたジャン レデール(Jean R?d?l?)は、ルノー 4CVをチューンした改造車でラリーなどで活躍しルマンにも参戦しました。彼は1955年にアルプス山脈にちなんだ名前のアルピーヌ社を創設し、アルピーヌのプロトタイプは1955年のミッレ ミリアで750ccクラス優勝を果たしました。翌年にルノー 4CVにFRP製のボディを搭載した軽量スポーツカー A106 ミッレ ミリアが市販されました。
A106には1958年にアルピーヌ自社デザインのカブリオレが追加され、1960年にはカブリオレに屋根を付けたクーペも追加されました。1959年にはルノー ドーフィン用のエンジンを904ccに拡大し60HPにパワーアップし、最高速度170km/hという極めて高性能なA108が追加されました。アルピーヌはエンジン チューナーであるゴルディーニと提携することで、より強力なエンジンを使えるようになりました。1973年にアルピーヌ社はルノー傘下となりました。
ミニカーは1950-1960年代に発売されたフランス CIJ製の当時物です。60年も前に作られた古いミニカーですので、室内は何もないがらんどうです。これは後期型ですのでウィンドーが付いていますが、前期型はウィンドーもありませんでした。そんな素朴な作りですが、実車の雰囲気は十分感じられるミニカーになっていました。CIJのミニカーは当時のミニカーの中ではかなり出来の良い部類でした。これ以外のA106のミニカーはべレム(ソリド)、ノレブ、ノスタルジー、エリゴールなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー フロリード クーペ フランス 1958年
ルノー フロリードはドーフィンをベースにした2+2座のスポーティーカーで、1958年に発表されました。クーペとカブリオレの2タイプがあり、イタリアのピエトロ フルアがデザインした小粋なスタイルで人気がありました。フロリードという名前はアメリカのフロリダ州にちなんだものでしたが、北米とイギリスではカラベル(CARAVELLE)という名前で発売されました。リアに搭載したエンジンはドーフィンのゴルディーニ仕様(37HP)と同じで、走行性能はドーフィンより少しだけスポーティでしたが見た目重視の車でした。
1962年にエンジンがルノー 8用の4気筒1L(48HP)に変更され4輪ディスクブレーキが採用されました。1962年以降は全市場で名前がカラベルに統一されました。1964年にエンジンが1.1L(55HP)に拡大されて最高速が158km/hに向上し、性能的にもスポーツカーらしくなりました。しかし1960年代後半になると見た目的にも時代遅れになり、1968年に生産中止となりました。総生産台数は約12万台でした。
ミニカーは1959年に発売されたコーギーの当時物です。1950年代後半のミニカーですのでヘッドライトやバンパーは塗装処理の素朴な作りです。縮尺1/46と1/43より少し小さめに作られていますが、プロポーションが良く実車の雰囲気がしっかり再現されています。なおこのミニカーは室内の造形がされていてスプリング サスペンションのギミックが付いていましたが、当時のミニカーにはまだ室内の造形がないがらんどうの物もありました。これ以外でもソリド、CIJ、ノレブ、ディンキー、スポットオン、ガマなど当時の老舗ブランドが揃ってモデル化していましたので、実車の人気が高かったことが分かります。最近の物ではノレブの1/18と1/43があります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー 4L フランス 1961年
1961年にルノー 4CVの後継車としてルノー 4が登場しました。ルノー初の前輪駆動方式を採用し、2ボックスのハッチバックボディなど、ライバルのシトロエン 2CVを意識した設計でした。ボディはセダン以外にフルゴネット(後部がハイルーフの箱形商用車)、ブレーク(バン)、ピックアップなどがありました。エンジンは4CV譲りの747cc(32HP)で3段変速機、最高速113km/h の性能でした。なおエンジンが603ccの廉価版ルノー 3も短期間ですが販売されました。
リアサスペンションは横置きトーションバーを用いたトレーリングアーム方式で、ボディ全幅に渡る長い左右輪用トーションバーが2本前後に並んでいたので、ホイールベースが左右で少し異なっていました。当初はフロントグリルとヘッドライトが分離していましたが、1968年以降はアルミ製グリルで一体化され、1975年には黒い樹脂製グリルとなりました。1972年にエンジンが800ccに拡大され、1978年には1.1Lエンジンも追加されました。コストを抑えた設計による実用性/経済性が評価され、同じようなコンセプトのシトロエン 2CV以上に大成功し1992年まで生産されました。総生産台数は835万台でこれはモデルチェンジしていない量販車としてはフォルクスワーゲン ビートル(2153万台)、フォード T型(1500万台)に次ぐ第3位でした。(ちなみにシトロエン 2CVは387万台) 後継車はトゥインゴでした。
ミニカーは1962年に発売されたディンキー(仏)製の当時物です。豪華仕様の4L(リアクォーター後部に3枚目の窓がある)をモデル化しています。ディンキー(DINKY TOY)はイギリスとフランスに生産拠点があって、フランスのディンキー(仏)は主にフランス車を手掛けていました。ディンキー(仏)のミニカーはプロモーションモデル的なリアルな作風が特徴でした。このルノー 4も1960年代の素朴な作りですが、プロポーションはしっかりしていて細部も結構リアルで良い出来ばえでした。スプリングサスペンションのギミックが付いています。これ以外のルノー 4の当時物ミニカーはノレブ、ディンキー(仏)をコピーしたオートピレン、ソリドのフルゴネット、トミカのフルゴネットなどがありました。当時物以外ではビテス、ソリド、ノレブ、ブレキナの1/87など商用車のバリエーションも含めてたくさんあり、最近でも新製品が出されています。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)