ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

HISPANO-SUIZA ALFONSO XIII 1913 SPAIN

HISPANO-SUIZA ALFONSO XIII
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
HISPANO-SUIZA ALFONSO XIII


EKO 6005 1/43 105㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.5m エンジン 変速機: 4気筒 3620cc 64HP 3段変速
性能: 最高速120km/h  データーベースでイスパノ スイザのミニカー検索

イスパノ スイザ アルフォンソ XIII スペイン/フランス 1913年

 

 スペインの自動車会社がスイス人の技術者マルク ビルキヒト(Marc Birkigt)をチーフエンジニアに採用し、1904年にスペインのバルセロナに設立したのがイスパノ スイザ社でした。「イスパノ スイザ(Hispano-Suiza)」とは「スペインとスイス」という意味で、設立した経営者がスペイン人、チーフエンジニアがスイス人という意味で命名されました。(フランス語ではHを発音しないのでイスパノ スイザと発音します)イスパノ スイザ社は一般乗用車/トラックに加えて高級車やレーシングカーも生産しました。

 

 イスパノ スイザ社はスペイン王室の援助を受けて王室御料車になったことで、高級車メーカーとして知られることになりました。初期の名車としては、スペイン国王のアルフォンソ 13世の名前を冠したアルフォンゾ XIIIがありました。この車はスペイン国王が開催した1911年のレースに優勝したレーシングカーをベースにしたスポーツカーでした。トランスミッションと一体化した高性能な4気筒3620cc(64HP)エンジンを搭載し、3段変速で最高速120km/hの性能で、当時としては高性能で軽快なスポーツカーでした。約500台が1914年までに生産されました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたスペインのエコー(EKO)製です。エコーのミニカーはプラスチック製で、1/87サイズの乗用車/商用車や1/43サイズのクラシックカーをモデル化していました。このイスパノ スイザ アルフォンソ XIIIは自国の名車であることからモデル化に気合が入っているようで、車名ロゴの付いたフロントグリル、軽快なサイクルフェンダーなど実車がうまく再現されています。それ以外の細部もリアルで、1960年代のクラシックカーのミニカーとしてはレベルの高い出来ばえとなっていました。これ以外のアルフォンソ XIIIのミニカーはミニチャンプスのレジン製があります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

HISPANO-SUIZA ALFONSO 1
HISPANO-SUIZA ALFONSO 2

 以下は1960年代に発売された同じエコー製のイスパノ スイザ 1906 (1/43 型番6009)の画像です。モデルとなった実車の詳細は分かりませんが、年式から4気筒3.8Lエンジンを搭載した同社初期の中型車 20/30HPをモデル化しているようです。これも実車の雰囲気がうまく再現されていて、1960年代のクラシックカーのミニカーとしては良い出来ばえです。(実車画像→ イスパノ スイザ 20/30HP ) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
HISPANO-SUIZA 1906 1
HISPANO-SUIZA 1906 2

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PANHARD LEVASSOR SKIFF 1914 FRANCE

PANHARD LEVASSOR SKIFF
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PANHARD LEVASSOR SKIFF


MINIALUXE 19 1/43 110㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.7m エンジン 変速機: 4気筒 2.6L 22HP 4段変速
性能: 最高速50km/h  データーベースでパナールのミニカー検索

パナール ルヴァッソール スキッフ フランス 1914年

 

 この車はパナール ルヴァッソールのシャーシに架装されたカスタムデザイン車で、今日で言うところのショーカーのようなものでした。スキッフとは細長い小船のことでボディの形が似ているだけではなく木骨に板張りという構造も同じになっていました。この個性的なボディを架装したのは、フランスのコーチビルダー HENRI-LABOURDETTE(アンリ ラブールデット)社で、同社は1910-1920年代にスキッフという名前で同じようなデザインのボディをロールス ロイスやイスパノ スイザなどに架装していましたが、その名前をつけた最初のモデルは1912年に登場しました。

 

 最初のスキッフは4気筒2.6L(22HP)エンジンを搭載したパナール ルヴァッソール タイプ X19に架装されました。この車は「軽くて快適な小船のようなデザイン」というパナール ルヴァッソール社の重役の要望に沿って製作されました。小船をイメージしたこの車にはドアがなく、木製フレームにマホガニーの板をリベット留めした構造で非常に軽量でした。フランスのコーチビルダーが架装するカスタムデザイン車は船をモチーフにした耽美なものが多いですが、この車はその先駆けとなったもので、他のコーチビルダーがこのデザインを模倣しました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたフランスのMINIALUXE製です。(MINIALUXEは正しい読み方ではないかもしれませんが、ミニオールと呼んでいます) MINIALUXEは1964年から「Tacots」シリーズとして1/43サイズのプラスチック製で出来の良いクラシックカーを約30種類ほど発売していました。このスキッフも実車の魅力的なデザインをうまく再現していて良く出来ています。フロントのパネルに1914と表示しているのと実用的な幌が付いていますので、1912年のスキッフの市販仕様かもしれません。プラスチック製で色を変えるのが簡単なので様々な色を組み合わせた色違いがありましたが、この実車に即した茶色のボディが一番リアルです。パナール ルヴァッソール スキッフのミニカーは現時点(2023年)でもこれしかないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像と運転席部分の拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

PANHARD LEVASSOR SKIFF 1
PANHARD LEVASSOR SKIFF 2

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REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 1914 FRANCE

REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE


IXO ALTAYA  1/43 90㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m 全幅約1.6m エンジン 変速機: 2気筒 1.2L 8HP 3段変速
性能: 最高速45km/h  データーベースで戦前のルノーのミニカー検索

ルノー タイプ AG タクシー ド ラ マルヌ フランス 1914年

 

 前述したようにルノー タイプ AGはタクシーとして使われました。タイプ AG タクシーは画像のようなランドレー形式のボディが一般的でしたが、密閉式キャビンのセダンやフルオープンのフェートン、商用バンなどもあったそうです。ルノーは1905年にタクシー会社を設立し自社のタクシーを大量に使用しました。この会社以外にも当時のパリにはタクシー会社が2つあり、1914年には約10000台のタクシーがあったそうで、その80%以上がルノー タイプ AGだったとのことです。

 

 第1次大戦初期の1914年9月にドイツ軍がパリの間近に迫ったとき、パリのタクシー 1300台がフランス軍6000人を一夜にしてパリから50km離れたマルヌの前線に送り込み、フランス軍の勝利に寄与しました。この大活躍でルノー タイプ AG タクシーは「タクシー ド ラ マルヌ」(マルヌのタクシー)と呼ばれるようになりました。ちなみにタクシー料金は会社が運転手に支払ったそうです。また当時のタクシーはライトを標準装備していませんでしたので、夜間移動の際にはライト(石油ランプ式?)を追加したそうです。

 

 

 ミニカーはミニカー付雑誌「TAXI DEL MONDO (世界のタクシー)」(参照WBサイト→ TAXI DEL MONDO)のフランス版用として作られたものです。メーカーはイクソ(アルタヤ)で、ルノー タイプ AG タクシー仕様(タクシー ド ラ マルヌ)をモデル化しています。雑誌付きの安価なミニカーですが、結構良く出来ています。幌の下に見える黒い四角い箱がタクシーメータです。このタクシーメーターは車軸の回転数から走行距離を機械的に算出して移動距離(又は料金)を表示する構造で、現在の自動車で走行距離を表示するオドメーターのようなものだったようです。同時代のルノー タクシーのミニカーはサフィールとラミーもモデル化していました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 1
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 2

 以下は1960-1970年代に発売されたフランスのMINIALUXE(ミニオール)製のルノー タイプ AG タクシー ド ラ マルヌ 1907 (1/43 型番7)の画像です。前述したMINIALUXE製のタイプ AG(型番5)のバリエーションです。ヘッドライトやキャビン横のランタンなどが外され、スペアタイヤを追加してタクシー仕様になっています。当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。プラスチック製なので経年変化でボディ全体が少し弓なりに変形しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 3
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 4

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 5
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 6

 以下は1960-1970年代に発売されたフランスのMINIALUXE(ミニオール)製のルノー グランド レミス(GRANDE REMIS) 1906 (1/43 型番21)の画像です。グランド レミスとは元々は「豪華な貸し馬車」のことで、パリを訪れた王侯貴族などが利用した馬車で、現在でいうところのタクシーより上等で格式の高いハイヤー(運転手付きの貸し切り乗用車)にあたります。タクシーはライトが付いていないのですが、これは片方だけ付いているので、タクシーではないことが分かります。したがってこの車はタイプ AGではなくもっと高級なタイプ Xやタイプ Vなのかもしれません。プラスチック製なので経年変化でボディ全体が弓なりに変形しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
REAULT GRANDE REMIS 1
REAULT GRANDE REMIS 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
REAULT GRANDE REMIS 3
REAULT GRANDE REMIS 4

 以下は1960-1970年代に発売されたフランスのラミー製のルノー AG タクシー ド ラ マルヌ (1/43 型番1)の画像です。型番1なのでラミーの最初のモデルでした。したがって上記の3台より製作時期的にはかなり古いので素朴な作りですが、当時のミニカーとしてはまずまずの良い出来ばえでした。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 7
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 8

 以下はフロント/リアの拡大画像です。ボディは中央で分割された型で成型されていますが、このような分割方式は珍しいと思います。リアを見るとボディカラーが左右で違っています。これはオークションで入手した物なので経緯は分かりませんが、2台の別のミニカーを組み合わせてあるのかもしれません。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 9
REAULT TYPE AG TAXI DE LA MARNE 10

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PEUGEOT BP1 BEBE 1916 FRANCE

PEUGEOT BP1 BEBE
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PEUGEOT BP1 BEBE


NOREV 479201 1/43 62㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約2.62m 全幅約1.23m エンジン 変速機: 4気筒 855㏄ 10HP 2/3段変速
性能: 最高速60km/h  データーベースで戦前のプジョーのミニカー検索

プジョー タイプ BP1 ベベ フランス 1916年

 

 ベベ(仏語BebeはBaby:赤ん坊の意)という愛称で呼ばれたプジョーの小型車は2つありました。最初のベベはアルマン プジョーが独立して興したプジョー社が1905年に生産したタイプ 69です。(参照画像→ プジョー タイプ 69) この車は全長約2.7mの2人乗りの小型車で、単気筒652㏄(5HP)エンジンを搭載し、3段変速のシャフトドライブで最高速40㎞/hと高性能でした。この車は安価だったので1905年に400台ほどが販売され、これは当時のプジョーの生産台数の半分以上を占める大成功でした。

 

 2代目のベベはブガッティの創始者であるエットール ブガッティが設計して1913年に登場したタイプ BP1です。この車はプジョー社とリオン プジョー社が合併した後のプジョー社が製造しました。ブガッティが設計しただけあって、当時としては本格的な水冷4気筒855cc(10HP)エンジンを搭載し、2段変速(後に3段になる ブガッティの設計では4段だった)、最高速60km/hとこの時代の小型車としては高性能でした。1916年までに約3000台が生産され、シトロエン 5CVが登場する以前のフランスでは最も成功した傑作小型車となりました。

 

 

 ミニカーは2007年に発売されたノレブ製です。タイプ BP1 べべの量産ミニカーとしてはこれが初めてのモデル化だと思います。実車が小さいので豆粒のような小さなサイズの灯火類や床下のサスペンションなどが実に良く再現してあり、素晴らしい出来ばえです。グリルなどのメッキパーツを敢えて鈍い光沢にしているのも、古い車の雰囲気を感じさせる良いセンスです。(この手のクラシックカーにはあまりピカピカのメッキは似合わないので) ただこのフロントサスペンションは繊細過ぎて壊れやすいので、取り扱いには注意が必要です。(現状でも左側全輪は外れそうです) なお閉じた状態の幌も付属していますので、交換して幌を閉じた状態にもできます。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

PEUGEOT BP1 BEBE 1
PEUGEOT BP1 BEBE 2

 以下は俯瞰と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PEUGEOT BP1 BEBE 3

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CITROEN TYPE A 1919 FRANCE

CITROEN TYPE A
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CITROEN TYPE A


NOREV 151509 1/43 85mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.68m 全幅約1.41m エンジン 変速機: 4気筒 1327cc 18HP 3段変速
性能: 最高速65km/h  データーベースで戦前のシトロエンのミニカー検索

シトロエン タイプ A フランス 1919年

 

 シトロエン社の創立者であったアンドレ シトロエンはパリの生まれで、国立理工科大学を卒業したエンジニアでした。彼はV字型にカットされた歯車(ダブル シェブロン ギヤ)の有効性に注目し、このギヤの製造工場を設立して成功しました。その後不振だった他の自動車メーカーを立ち直らせるなど自動車業界にも関与しました。1914年に第1次世界大戦が勃発すると、フランス軍の砲弾不足を補うため軍需工場(弾丸工場)を造り、フォード流の流れ作業を採用することで大量の弾丸を生産しました。なおシトロエン車のエンブレムは(エンブレム画像)はアンドレが製造したダブル シェブロン ギヤをモチーフにしています。

 

 1919年にシトロエン自動車会社が設立され、最初の自動車 タイプ Aが登場しました。タイプ Aは「アメリカのフォード T型の様に普及させて社会の生活レベルを向上させよう」というアンドレの理想のもとに造られたので、大量生産が可能なオーソドックスな構造でした。4気筒1.4L(18HP)エンジンを搭載する後輪駆動車で、セダンは3段変速で最高速65km/hの性能でした。ホイールベースの異なる2つのシャーシがあり、幌付4人乗りセダン、密閉式4人乗りセダン、3人乗りセダン、トラック、バンなどがあったようです。1921年まで生産され、B2にモデルチェンジしました。タイプ Aは1年間に約2万台が生産され、シトロエンは欧州初の量産自動車メーカーとなりました。

 

 

 ミニカーは2019年に発売されたノレブ製です。最近のノレブはフランス車を中心にして堅実な商品展開をしていて、ダイキャスト製で一級品の良い出来ばえです。このシトロエン モデル Aもノレブらしいそつのない良い出来ばえです。フロントグリルやホイールなどの細部の仕上げもリアルで、特にワイパーがウィンドーを挟んで2重になっているのは凝っています。なぜ2重なのかというと、このワイパーは内側を手で持って手動で操作する方式なのでした。このような地味なクラシックカー(歴史的には重要なモデルですが)をモデル化するのは老舗ノレブならではのことで、最新の派手なスポーツカーばかりをモデル化する新興ブランドには期待できないことです。なおタイプ Aの量産ミニカーはこれが初めてでもありました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

CITROEN TYPE A 1
CITROEN TYPE A 2

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