ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

BERNARDI 3.5HP 3-WHEELER 1896 ITALY

BERNARDI 3.5HP 3-WHEELER
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BERNARDI 3.5HP 3-WHEELER


DUGU 10 1/43 63㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約2.7m エンジン 変速機: 単気筒 624cc 3.5HP 3段変速
性能: 最高速35km/h  

ベルナルディ 3.5HP 3輪車 イタリア 1896年

 

 前述したようにイタリアではボルディーノの蒸気車など蒸気機関を利用した自動車が開発されましたが、その後の展開はありませんでした。イタリアのヴェローナ出身の技術者エンリコ ベルナルディ(Enrico Bernardi)はガソリンを使う内燃エンジンを1882年に開発し、それを組み込んだ3輪自動車を1894年に製作しました。これは世界初の内燃エンジン自動車とされているドイツのカール ベンツが製作した3輪自動車(1896年)よりも先に作られたことになります。それでもベンツの3輪自動車が世界初のガソリン自動車とされているのは、その後の実用化展開が成功しベンツが大企業に発展したからでしょう。

 

 ベルナルディの3輪自動車はイタリア初のガソリン車でもありました。全長約2.7mの2人乗りの3輪車で、単気筒624cc(3.5HP)エンジンをリアに搭載し3段変速機を介して後輪をチェーン駆動していました。エンジンはベンツの3輪車の単気筒984cc(0.9HP)よりもかなり高性能で、最高速35km/hもベンツより優れていました。(ただしこのスペックはイタリアの資料から抜粋したので、全部信用する訳にはいきませんが) ベルナルディの3輪車は1896年からある程度の量産がされたようですが、その製造会社は1901年に生産を止めていて生産台数などは不明です。実車はイタリアのトリノ博物館が所蔵しています。

 

 

 ミニカーは1960-1970年代に発売されたクラシックカーの専門ブランドのドゥグー製です。ドゥグーは大人のマニア向けのミニカーで、イタリアのビスカレッティ自動車博物館(現在はトリノ自動車博物館)に保存されていた実車を忠実にモデル化していました。このベルナルディも博物館の実車をモデル化しているようですが、ヘッドライトの部分が異なっています。小さなミニカーですが、単気筒エンジンはフライホイールやヘッド部分の細部まで再現されていて、後輪を駆動するチェーンは金属製で実際に作動するといった凝った作りです。チェーンの大きさは完全にオーバースケールですが、実際に作動させるにはこのサイズが必要でしょう。(このサイズでもよくやったと思いますが) ただ残念なことにドゥグー初期のミニカーに良く起こる不具合ですが、ゴムタイヤに使われた可塑剤の影響でホイールが溶けてタイヤが外れそうな状態になっています。これは幌を畳んだ状態ですが幌を立てたバリエーション(型番9)もありました。なおベルナルディの量産ミニカーはこれしかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

BERNARDI 3.5HP 1
BERNARDI 3.5HP 2

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GAUTHIER WEHRLE (EV) 1897 FRANCE

GAUTHIER WEHRLE (EV)
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
GAUTHIER WEHRLE (EV)


R.A.M.i. 12 1/43 61㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約2.6m 全幅約1.5m エンジン 変速機: 電気モーター 
性能: 最高速 不詳  データーベースでラミーのミニカーのミニカー検索

ゴーティエ ウエラ (電気自動車) フランス 1897年

 

 1894年にロッセル(?douard Rossel)、ゴーティエ(Charles Gautier)、ウエラ(Wehrl?)は自動車を生産するロッセル ゴーティエ ウエラ(Rossel Gauthier & Wehrle)社をパリに設立しました。ブランド名はゴーティエ ウエラでした。最初は蒸気自動車を開発しましたが、エンジンを内燃機関に変更することになり1897年に蒸気自動車の生産は終わり、社名をコンチネンタル自動車(Soci?t? Continentale d'Automobiles)に変更しました。1896年に登場した「Mignonnette(ミニチュアという意味)」と呼ばれるモデルは、2気筒エンジンをシート下に搭載し3段変速で、サスペンションが付いた後輪をギヤ駆動する当時としては革新的な構造の車でした。(実車画像→ ゴーティエ ウエラ Mignonnette 1896)

 

 その後単気筒エンジンを搭載したモデルや、水平対向2気筒エンジンを搭載したモデルも登場しました。1898年には単気筒エンジンを搭載した自転車や3輪車に加えて電気モーターを搭載した電気自動車も登場しました。(1900年当時は蒸気機関、内燃機関、電気モータを使った自動車が開発されていました) 理由は分かりませんが、コンチネンタル自動車は1900年に解散?したようです。設立者の一人ゴーティエは1902年に新しい自動車会社Gautier et Cieを設立しましたが、この会社も1907年に消えました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたラミー(R.A.M.i.)製です。ミニカーがモデル化している実車は詳細が分かりませんが、上述したMignonnetteに電気モーターを搭載した初期のプロトタイプのようです。1960年代のミニカーですから素朴な作りですが、実車のイラストを見ると、実車が忠実に再現されています。ヘッドライト、ランタン、操作レバー、モーター収納部の通気孔など細部も当時のミニカーとしては良く再現されていてカラーリングも洒落ています。ゴーティエ ウエラのミニカーはこれしかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像と運転席周りの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

GAUTHIER WEHRLE 1
GAUTHIER WEHRLE 2

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PANHARD LEVASSOR TYPE A 1898 FRANCE

PANHARD LEVASSOR TYPE A
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PANHARD LEVASSOR TYPE A


SAFIR 17 1/43 76㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3m 重量約500kg エンジン 変速機: ダイムラー製 水冷2気筒 1.2L 4HP 3段変速 後輪チェーン駆動
性能: 最高速30km/h  データーベースでパナールのミニカー検索

パナール ルヴァッソール タイプ A フランス 1898年

 

 前述したように1894年に史上初の自動車レース「パリ-ルーアン」が開催され、このレースでパナールはプジョーに次ぐ2位となっています。その翌年に開催された「パリ-ボルドー」ではパナール ルヴァッソールが優勝し、さらに1896年の「パリ-マルセイユ」ではパナール ルヴァッソールが1-2-3フィニッシュしましたが、このレースで創業者のエミール ルヴァッソールが事故を起こして重傷を負いました。このようにパナール ルヴァッソールは初期の自動車レースで大活躍し、その先進性を実証して有名になり、当時最大の自動車メーカーとなって行きました。また車種も小型車からだんだん高級な大型車へシフトしていきました。

 

 ミニカーは前述したタイプ Aの発展型をモデル化しています。ボンネットの下にダイムラー製の水冷2気筒1.2L(4HP)エンジンが搭載され、ラジエータは後部床下に配置されています。(床下にみえる2本の円筒状の物がラジエーターのようです) ステアリングはレバー式から丸ハンドルに変わっています。運転席右側にあるレバーは3段ギヤボックスの変速レバーと後輪のブレーキレバーです。なおタイプ Aには2気筒1.6L(7HP)エンジンが搭載された車もありました。タイプ Aは1902年まで生産され総生産台数は約1300台でした。

 

 

 ミニカーは1960年-1970年代に発売されたサフィール製です。サフィールのクラシックカーのなかでもこの型番17のパナール ルヴァッソールは特に細部が非常にリアルに作り込まれている当時の傑作ミニカーでした。(2023年現在のミニカーにも引けを取らない出来ばえです) 台形で角を落とした特徴的なボンネットなど実車の雰囲気が良く再現され、カラーリングも綺麗です。灯火類やレバー、シャーシ底面にはエンジン、変速機、変速機から後輪を駆動するチェーン、前後輪のサスペンション、円筒形ラジエータなどがリアルに再現されています。 以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

PANHARD LEVASSOR 1
PANHARD LEVASSOR 2

 以下は1960年-1970年代に発売されたラミー(RAMI)製のパナール ルヴァッソール トノー 1899 (1/43 型番18)の画像です。名前のトノー(TONNEAU)とは運転席後部の対面式座席を備えた客室のことを意味しています。この客室には後部のドアから乗り降りするようです。これも60年前のビンテージ物ミニカーですが、結構リアルに出来ています。上記タイプ Aをさらに改良した車をモデル化しています。上記タイプ Aとの最大の違いはボンネットの前にラジエーターが配置されていることです。これ以後は現在の自動車のようにボンネットの前部にラジエーターが配置されるようになりました。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PANHARD LEVASSOR TONNEAU 1
PANHARD LEVASSOR TONNEAU 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PANHARD LEVASSOR TONNEAU 3
PANHARD LEVASSOR TONNEAU 4

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HAUTIER VOITURE ELECTRIQUE (EV) 1898 FRANCE

HAUTIER VOITURE ELECTRIQUE (EV)
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HAUTIER VOITURE ELECTRIQUE (EV)


R.A.M.i. 19 1/43 90㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.8m 全幅約1.5m エンジン 変速機: 電気モーター 
性能: 最高速 不詳  データーベースでラミーのミニカーのミニカー検索

アウティエ 電気自動車 フランス 1898年

 

 欧米各国では1800年代末から1900年代始めにかけて、蒸気機関、内燃機関、電気モーターを搭載した自動車が開発され、それらの自動車が最高速度などの性能を競っていました。1899年にはベルギーのジェナッツィ「ジャメ コンタント号」が電気自動車で当時の自動車速度記録(105.88㎞/h)を達成しています。

 

 フランスのアウティエ社(Soci?t? Hautier)は1899年に自動車メーカーとして創立されました。最初の自動車は電気モーターを搭載した電気自動車でした。この電気自動車は1900年には使わなくなったとのことで詳細は不明ですが、当時撮られたと思われる実車の写真からタクシーとして開発されたようです。(写真は1898年式なので開発初期のプロトタイプのようです 実車画像→ アウティエ 1898) アウティエ社は1900年にガソリンエンジンを搭載したモデルをパリ モーターショーで発表しました。この車は単気筒902㏄エンジンを搭載した小型車でした。その後同じエンジンで気筒数を増やした2気筒/4気筒エンジンを搭載したモデルも発売したようですが、1905年には自動車生産を終了しました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたラミー(R.A.M.i.)製です。ラミーはフランスのミニカーメーカーJMK社のブランドで、この車のような初期の自動車を1/43サイズでモデル化していました。1960年代のミニカーですから素朴な作りですが、実車の写真を忠実に再現しています。車体後部の高い位置にに丸ハンドルが付いた運転席がありますが、この形態は昔の辻馬車(馬車タクシー)とそっくりですので、この車は辻馬車に電気モーターをつけた構造だったようです。(参照画像→ 1800年代中期のロンドンの辻馬車) 客室の正面にドアがありその奥にはシートがありましたが、このミニカーにはシートが再現されていません。(初期に作られた物には赤いシートが付いていたようですが、当方の物は後期型なので省略されています) ランタンがついた飾り枠は時代を感じさせる造形で、黒/オレンジ/赤のカラーリングも洒落ています。自動車創世記のマイナーな車ですので、ミニカーはこれしかありません。以下はフロント(ドア開閉ギミック)/リアの拡大画像と運転席周りの画像です。(参照ページ→ ラミーのミニカー一覧)  (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

HAUTIER VOITURE ELECTRIQUE 1
HAUTIER VOITURE ELECTRIQUE 2

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AUDIBERT & LAVIROTTE 1898 FRANCE

AUDIBERT & LAVIROTTE
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUDIBERT & LAVIROTTE


R.A.M.i. 27 1/43 68㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3m 全幅約1.7m エンジン 変速機: 2気筒 16HP 3段変速?
性能: 最高速 不詳  データーベースでラミーのミニカーのミニカー検索

オーディベール & ラヴィロッテ フランス 1898年

 

 技術者モーリス オーディベール(Maurice Audibert)は1982年にガソリンエンジンを製作し、友人のエミール ラヴィロッテ(Emile Lavirotte)と共同してドイツのベンツ ビクトリアの構造を真似た自動車を1994年に製作しました。1996年に2人はオーディベール & ラヴィロッテ有限会社(Soci?t? Anonyme des Anciens ?tablissements Audibert et Lavirotte)を設立し、単気筒エンジンを搭載した小型車の販売を始めました。同社は1896年から1901年の間に、3輪車から商用車、バスなどさまざまなモデルを約300台生産しました。

 

 同社の車は信頼性が高く評判は良かったそうですが、1901年に経営状況が悪化して会社が破産し、工場はベルリエなどに引き継がれました。なおモーリス オーディベールが考案した鋼管シャーシやドライサンプ式ギアボックスはその後の自動車に広く採用されました。画像のミニカーがモデル化しているのは、フランスの博物館に保管されていた2気筒(16HP)エンジンを搭載したダブルフェートンで、1898年にニース-ラ テュルビー(Nice-La Turbie)レースで優勝した車だそうです。なおこの車の実車画像を見ると、丸型のステアリングホイールの下に少し径が小さいホイールがありますが、それはギヤチェンジを行うホイールだそうです。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたラミー(R.A.M.i.)製です。ラミーはフランスのミニカーメーカーJMK社のブランドで、この車のような初期の自動車を1/43サイズでモデル化していました。1960年代のミニカーですから素朴な作りですが、博物館に保管されていた実車を忠実に再現しています。実車の特徴であるフロントの大きなラジエターはかなりリアルに再現してあり、スカットル左右のランタンと右サイドのブレーキレバーも再現されています。もう一つの特徴である2段重ねのステアリングホイールも再現して欲しかったところですが、それは再現されていません。カラーリングは基本的には実車に準じていますが、ミニカーとして見ばえがするよう明るい色調に変えてあります。自動車創世記のマイナーな車ですので、オーディベール & ラヴィロッテのこれ以外のミニカーはありません。 以下はフロント/リアの拡大画像です。 (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

AUDIBERT LAVIROTTE 1
AUDIBERT LAVIROTTE 2

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